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2011-11-10

花開会50+1

 蛇足感たっぷりでも耐えてやるゼ!と仰る剛(業?)のしのつぼ者様のみ、追記をお開き下さいまし。
 


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2011-11-04

花開会50(完結)

 ついと手を引かれるまま、花は緑の手に落ちる。
 「お願いだから、私が必死に抑えているものを喚び起こそうとしないでおくれ…ただでさえ、君似の子が男の子でよかったとやっと安堵しているところなのに」
 「はあ?」
 「君似の娘が生まれてたら、私はとても離れることなんてできそうにない」
 なんだそれはと呆れながら、蕾は背に回された腕に力がこもるのを感じて揶揄の言葉を飲み込んだ。
 「私だって、好き好んで君や子供たちと離れたくはないよ。でもお役目のことだし、聖性を磨き力をつけて、君を包み守れるようになりたいと思うからこそ行くんだ」
 「お前、そんなことを…」
 「だってね」
 顔を上げた緑仙は妻の頬を撫で、やわらかく目元を緩める。
 「追いかけてもつかまらないひとだから、包んでしまうより仕方がないだろう?
 「それに、考えてもごらん。春を司る東皇使と錦花仙帝との婚姻が万物に繁栄をもたらすと言うなら、万聖を司る緑修天司と錦花仙帝では、どれほどの余慶があらわれることか。きっと、余はまさに花開くのだよ」
 花が大きく目を瞠る。身を離し、まじまじと夫を見た。黙り込んだまま見上げる瞳に映る、春の微笑。幼い頃からずっと見慣れた、なのに見慣れることのできない。
 「だから、蕾」
 すこし顔を傾けて、耳元に東雲は囁く。
 「待ってておくれ。必死に頑張って、大急ぎで修業を終わらせて来るから。百年なんて言わない、二十年くらいになるように」
 「なんだその自信は…」
 「自信がないからじゃないか」
 ぽんと言い返された意外な言葉に、蕾はいかにも不審げに顔を顰めた。すると黒い瞳が揺れて伏せられ、白皙は花の胸もとに沈む。そこから、ぶつぶつとこぼれ出す恨み言のような呟き。
 「君はいまだに私のものだと言ってくれないし、私がいなくても平気で暮らしそうだし、そうするうちにうっかり存在も忘れられたらどうしようと、心配で怖くてとても長くなんて離れていられないよ。耐えられるうちに帰って来ないと、私は我が妻たるひとに焦がれ死にしかねない。そんな東皇使がいるかね?」
 真剣なのかやけくそなのか、つるつる言い切る東雲の頭頂で、ごつりと固やわらかいものの落ちる音がした。蕾が細い顎を黒いつむじにつけ、深いため息をつく。
 「蕾?」
 「こっちこそ、身がもたん…」
 呟き落とした花の皇女が両手を伸べる。緑仙の頭を抱えて起こした。
 「あのな。二度と言わんから、よく聞いておけ」
 正面から合わせる瞳の近さ。花なればこそ、燃えるような生命力を湛えて。
 ぽっちりと紅い唇が香気載せて囁く。
 「お前を愛している…待っておるから、早く帰って来い」
 しかし東雲が反応しない。
 「?」
 妙だな調子に乗らんのかと当てが外れ、蕾はひそと眉を寄せた。その目の先で、ゆっくりと森の皇子が解凍して行く。
 「あ…
 「え
 「今…」
 そう来ると途端に恥ずかしい。ぱっと東雲の頭を放り出した、その手首を掴まれた。
 「蕾…蕾!」
 強く抱きしめられ、蕾は反射的に暴れようとする自分をやっとのことで押さえ込んだ。
 「嬉しいよ…すごく嬉しい。夢みたいだ…!」
 子まで生しておきながら何を言うと思いながらじっとしていると、体を離した東雲が声を震わせる。
 「どうしよう…今の君をこの目に焼き付けておきたいのに、霞がかかったみたいに頭がぼうっとするんだ。本当に夢なのかな…」
 ぷ、と蕾が噴き出した。
 「では、目を瞑ってしまえ」
 伸び上がった花の唇が、そっと春に重なる。
 傍らには健やかな寝息がふたつ。あどけない花気を微風に乗せてゆるゆると世界をあたためる。
 「…いずれ、あの方に会いに行こう。お前とオレと子供たちと…あの方が守って下さっている幸福が、またあの方を守りたいと望んでいることを知っていただくために」

 


 春のもとに花は開き、花を包んで春は伸び拡がり。
 世界は、かく満たされる。






                                           -花開会・了-



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2011-11-03

花開会49

 玉風大帝が永帝の皇子に負けているのは、どうも父親としての心構えなのではないだろうか。
 蕾はぼんやりと越し三年を思う。
 東雲はよほどにつとめが詰んでいなければ毎日現れては何くれと蕾の世話を焼いていた。癒しの力を持つ手で時折痛む背や腰をさすられるのは快かったが、聞いている方が痒くなるような声で腹の子に話しかけるのを聞き続けるのはかなり辛かった。嬉しくて幸せで楽しみで仕方ない、と全身で言われているようで、自然に自分にも母としての心構えが…
 いや、そんなことは今どうでもいい。
 花容を巡らせた産婦は、毒気を抜かれたらしい風仙の退散の辞を聞いた。
 「じゃあ、孫の顔も見たし、私はそろそろ行くよ」
 「左様ですか。お構いも致しませず」
 東雲は澄まし返っているが、明らかに安堵の気配がちらつく。心の中で塩でも撒いていまいかと蕾は疑ってしまった。それはそれで面白い、などと考えていると、
 「ではね。落ち着いたら、お前も子供たちを連れてこちらへ遊びにおいで」
 なんと驚異なことに玉帝がお愛想を言った。孫の破壊力恐るべし、だ。
 ただ、そこまでならよかったのだが。
 最後に放たれた祖父の天然爆弾の破壊力が、これまたなかなかのものだった。
 「あ、そうだ。香穂と英なんてどうかな」
 振り返った都流が宙に指文字を書くのを、春と花はぽかんと見遣る。
 「…はい?」
 風は、意外に辛抱強く繰り返した。
 「かぐほとすぐる」
 


 「無駄になってしまった…」
 東雲はしょんぼりと懐から紙束を引き出して屑入れに放り込んだ。あれはもしや子供たちの名前の候補かと厚みに驚きながら蕾が声をかける。
 「東雲?何も、あれを必ず採用せねばならんということもあるまい」
 「うーん、でも…一応緑と花とか考えて戴いたらしいものを、いきなり却下してしまうのも色々と問題があるかな…名前だけならまだしもだし」
 思い切るように手を払い、東雲はくるりと振り返った。にこやかに言う。
 「この宮の護りを、厚くしておこうね」
 欲しいものは奪うという風への対策か。
 「お前こそ、いざとなると己の意志を貫くのに躊躇せんな…」
 もっとも、躊躇などしている間に、まんまと我が子への授名権を巻き上げられたりするわけだが。苦笑いする蕾は、その一番の戦利品が自分であることに気付いているのか。
 東雲は寝台の傍らに戻り、子供たちの寝かされている籠をやさしく揺すり始めた。
 「だって、あんな男所帯に生まれたばかりの我が子を託せるかね。乳の代わりに酒で育てようとしそうじゃないか」
 ないと言えないところが恐ろしい。蕾が小さくかぶりを振ると、緑仙は視線と声調子を変えた。
 「それより、君はまたやけに大人しかったね」
 「そう、か?」
 花と風の皇女はぎくりとするのを隠し、口先でとぼける。相変わらず父の前に出ると身構えてしまうのだけれど、そうと認めるのも癪で明言を避けた。
 「お前こそ、やけに強気だったではないか」
 「子供たちを守らねばと思っただけだよ」
 鉾先を変えれば樹が笑う。その飲み込み顔が憎らしい。
 「まあ、ね。幸い玉帝さまも孫の可愛さには勝てないようだし。今後はだんだんに歩み寄れるのではないかね」
 「そう、か~?」
 「少なくとも、互いの努力のきっかけにはなるだろう?」
 身と心近く育った幼馴染に得々と説かれ、蕾は少し俯いた。
 東雲は、いつも彼女のために。
 「そう、段取りをつけるな」
 呟く声には季節変わりの頼りなさが混じる。
 「え…蕾?」
 驚く夫に、自分の口こそ信じられない思いで彼女は言った。
 「そう色々手配りされると、お前はいなくなるのだと実感する…」
 「蕾」
 東雲の驚いた顔。




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2011-11-02

花開会48

 大体、わざわざ妙香花仙が先触れに現れるとは、よほど高位の者でもあろうか。錦帝ならば客とは呼ばれまいし案内を乞うはずもない。では一体?
 寸秒の怪訝は、扉の向こうの声に粉砕された。
 「あの、できましたらお召しかえを…」
 「ああ、いいよそんなの。面倒くさい」
 疲れているに違いない蕾におずおず言いかける薫を遮ったのは、数度しか聞かない、しかしやわか忘れざる声だった。
 「父上!?」
 蕾が叫ぶのも無理はない。三年前、東雲との婚儀の席さえ来るには来たが中座してそれきり帰ってしまった気随極まる風の帝が、自ら我が皇女のもとを訪れる日の来ようとは。
 はっと見直すと東皇使が微笑んでいる。彼が孫の誕生を知らせたのに相違ない、相変わらず手抜かりのない能吏ぶりだ。
 「お邪魔するよ」
 気軽にそう告げると、玉風大帝は手ずから扉を開けたらしい。さっと勢いよく左右に開かれる空間に美丈夫の姿が立ち現れた。あるいは別室に待たせているのか、供の姿はない。
 「あ…では私は、ご遠慮申し上げます。御用の節はお呼びくださいませ」
 薫が未練の視線を嬰児たちに残して下がって行く。茫然の尾を引きずってただ扉口を見つめる蕾の視界の中、ひょいと入って来た都流はまっすぐに雛夫婦のもとへ来た。
 「へえ、これがお前の子かい。私もおじい様というわけだ、嫌になってしまうね」
 軽忽とも言える発言は常のこと、赤子へと手を伸ばす。それを、東雲がはっしと止めた。
 「…?何か?東皇使どの」
 「失礼ながら、先にお手を清めて戴きませんと」
 森の皇子は、舅ににこにことプラスチックの箱を差し出す。
 「これは?」
 「滅菌ウェットティッシュという、下界の手拭きです。なかなか便利なものですよ」
 あくまでもにこにこと舌状の蓋を上げて不織布の端を見せ、さあ取れとばかり突きつけた。
 「ああ、そう…じゃあ」
 妙な迫力に負けたのか、都流は文句を言わずに従う。
 「これでいいのかな?」
 丹念に拭いた手を拡げて見せると、大変結構に存じますと頷いた東雲が使用済みのティッシュを受け取って屑入れに捨てに行った。
 風を統べる帝は苦笑いしつつ、今度こそ心置きなく孫の頬を指先でつついた。蕾似の弟の方だったが、つまり彼自身にも似ているわけで、祖父と言うよりうっかり父親にも見えてしまいそうだ。その男児は、くぷー、と声か息かわからない音を発して、小さな手で玉帝の指を握る。
 「うわ、小さいな…」
 呆れたように呟いた都流が蕾に視線を移した。
 「お前もこんなだったのか?」
 「…おそらく」
 花仙が無愛想に答える。生まれたての時を問われても他に答えようがなく、貴方こそが知っているべきだろうと思えば胸中は複雑にもやついた。
 しかし風仙にはそれこそどこ吹く風。
 「そうかあ」
 妙に嬉しそうに呟いて、今度は姉の鼻先を摘んだ。途端にふぎゃあと泣き声が上がる。
 「玉帝さまっ」
 東雲が飛んで来た。
 「触れるななどとは申しませんが、もっとやさしくお願いいたします、やさしく!」
 穏やかなるべき森の皇子に厳しく言いつけられ、さすがの風帝もたじろいだように鼻白む。
 「あ、ああ…すまないね。気をつけるから、そんなに怒らないでおくれ」
 「別に怒ってはおりませんが…」
 姉児を抱き上げてあやす仕草も堂に入ったもの、ほやほやの父は舅に向けた視線をふと緩める。
 「何だい」
 問われて彼は、風と花の父子を見比べた。
 「お二人の困り顔がそっくりだなんて事は、私しか知らないでしょうね」
 都流が頭を掻いた。
 「参ったな…」
 そこへすかさずもう一度ウェットティッシュを差し出され、自分の手を見下ろす。
 「どうも勝手が違うねえ。老いては子に順え、って奴かな?」
 「まだお若いではありませんか」
 ちらと娑婆っ気を見せる風仙に緑仙が笑う。その陰で蕾はそんな殊勝なたまかと舌を出す思いで肩をすくめていたが、続いた言葉には目を剥いた。
 「いやいや、だってね、孫だよ孫。でも妙にかわいいものだねえ、びっくりしたよ。どうだろう、この際、一人は風に」
 「差し上げません」
 蕾より先に東雲が言い切った。顔はあくまでにこやかだが、日頃の物腰に似合わない言葉つきに感情が溢れている。
 「帝が、ちょくちょくこちらにお運びあればよろしいのですよ」
 「ああ…まあ、そうかもね…」
 へどもどと首肯する玉風大帝ほどに珍しいかどうかは、定かではなかったが。





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2011-11-01

花開会47

 ほああ、と声が上がった。ほっとした空気が生まれるところへ、東雲の声がやわらかく響く。
 「さあ、あとひと頑張りだよ、蕾」
 「……」
 花の皇女は秀麗なおもてを苦痛に歪めながらも、かすかに頷いて女官に連れられて行く初児を見送る。視線を戻せば夫たる緑仙の気遣わしげな瞳。きつく握り締めた手が痛かろうに、彼はあとも言わず妻に癒しの気を送り続けている。
 「しのの、め」
 呼んだつもりだったが、声になっていたかどうかわからない。ちゃんと微笑んでいただろうか。身を絞るような苦痛の波に襲われながら、蕾は手を差し伸べる思いで目の奥の白光を追う。
 そして、もうひとつの嬰声が生まれた。



 「お疲れ様」
 ぐったりと目を閉じているまぶたに、寝台に膝で乗り上げた東雲が唇を落とす。
 「まったく、大変なものだな出産というのは…死ぬかと思った」
 ゆるゆる目を開けた御大花将の珍しい言い草に、東皇使はそっと微笑んだ。
 「錦帝さまも、こうして君を産み上げられたのだね」
 「お前の母君もな。…それにしても、永帝のお血筋というのは双子が決まりなのか?」
 東雲の、優しい、誇らしげな視線に頬が熱くなる。ごまかすようにわざと乱暴に問うと、短い苦笑が返って来た。
 「別に、決まりということもないと思うけど…
 「で、どうだい?身二つ…三つになって、風の気の具合は」
 「ああ、確かに…子供と一緒にそれも分け取られて行った感じというか、うん、そういう部分は楽になったな」
 「そう、それは何より」
 東雲は傍らの籠を引き寄せ、子供たちを優しく抱き上げる。上が女児、下が男児の双子だった。
 「そっとね…そっと」
 おそらく練習したに違いない、森の皇子は初子だと言うのに手つきにも危なげなく手渡して来る。どこで練習したものか、その先で笑われていたのではないかと思うと、蕾は微笑を禁じ得なかった。
 「何だい?」
 目敏く気付いた夫に優しく尋ねられ、彼女は小さくかぶりを振る。
 「何でもない。乳をやってみるから、お前はあちらを向いていろ」
 「そんな、今更…」
 いじましい抵抗はじとりと睨み伏せ、母となった花仙は指をくるりと返した。回れ右。やれやれと溜め息をついた森の皇子がやむなく従う。
 蕾はおっかなびっくり、まずは姉に乳を含ませた。首がゆらゆらするのが恐ろしい。それでもどうにか安定させるのに成功すると、赤子は仔細らしく手で状況を探ってから意外に力強く吸い付いて来た。この子は東雲似か、と眉間のしわを伸ばしてやりながら蕾は微笑む。
 「名前は、もう決めたのか?」
 「いや、ずっと迷っててね…君とも相談したかったし、まだ決めてない」
 「二つも決めねばならないな」
 「楽しみが二つということだよ」
 本当に楽しそうな声に顔を上げると、東雲は背を向けたまま肩から振り返るという苦しい姿勢のまま、じっと自分を見つめていた。
 「なっ、おま」
 「ああ、急に動いちゃだめだよ」
 「う…卑怯な」
 仕方なく自分が体の向きを変えると、女児は折りよく乳首を離した。では弟の番かと思う間に、緑仙が手を伸ばして来る。
 「げっぷをさせるから、貸して」
 ああそうか、と今度ばかりは素直に従い、空いた手に下の子を取り上げた。
 授乳を終えると、嬰児たちのふくふくした満腹感が室内の空気を緩める。若い父母が思わず瞳を交わして微笑んだ時、扉をほとほとと叩く音がした。薫の声がそれに続く。
 「失礼いたします、蕾さま。あの…お客様が」
 「ああ薫どの、どうぞ。祝いに来てくださった方なら、私が応対させて戴きますよ」
 東雲が応えるが、扉は開かなかった。
 「あの、それが…」
 戸惑いを含んだ声に、蕾と東雲は再び顔を見合わせた。
 

 
 
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